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ただのメモです

原田実 『江戸しぐさの正体』

原田実(2014) 『江戸しぐさの正体 ――教育をむしばむ偽りの伝統』 星海社新書

 

 私は「江戸しぐさ」ってネトウヨ絡みで最近知ったんですけど、 なんかいまは教科書にも載っているらしいですね。本書はその「しぐさ」が昭和になってからどのように作られ、いかに現実の江戸とはかけ離れたものであったかを分析する本です。

 この本のなにが驚いたって、著者が昭和薬科で古田武彦の助手だったということ。それでよく考えたら、と学会で古史古伝ネタをやっていた原田氏と同じ人なんですね。というわけで、江戸しぐさの成立を偽史とオカルトの観点から追った一冊になっています。

 メモとして名前を挙げておくと、芝三光という人が創始し、越川禮子というライターと日経新聞社の出版部長だった桐山勝という人がタッグを組んで広めたということのようです。単純に言えば、自己啓発書の民明書房的なホラがナショナリスティックな言説と結びついて教科書にまで載ってしまったという話のようですね。なんだかなぁ。

 

 

目次

はじめに 「江戸しぐさ」を読み解く三つの視点

第一章 「江戸しぐさ」を概観する

第二章 検証「江戸しぐさ」 ――パラレルワールドの中の「江戸」

第三章 「江戸しぐさ」の展開 ――越川禮子と桐山勝

第四章 「江戸しぐさ」の誕生 ――創始者・芝三光と反骨の生涯

第五章 オカルトとしての「江戸しぐさ」 ――偽史が教育をむしばむ

第六章 「江戸しぐさ」教育を弾劾する ――歴史教育、そして歴史学の敗北

おわりに 「江戸しぐさ」は最後の歴史捏造ではない